センチメンタル過剰


夜中、掃除をしていると、明らかに僕のものではない、長くて細い髪の毛が
見つかりました。まあ十中八九彼女のなんですけども、遠く離れた場所にいる
彼女の髪の毛が、今、この僕の部屋に落ちているというのは、何かとても
不思議なことに思えます。また「髪の毛だけ」というのが、かえって彼女の
不在を僕に強く印象付けて、寂しさが、すっと、唐突に押し寄せて来ます。

平安時代のみやびな人なら、こんな気持ちをさぞ上手く和歌に詠むのでしょう。
現代人の僕はそんなこと出来ないので、ただ、彼女と自分との間に横たわる
距離を思って、途方に暮れるのです。やっぱり掃除は昼間にする方が良いな。

なんて!寝よ!