ふと思い立ったので4限目を休んで宝くじを買いに行きました。
息子がふと思い立って講義を休んでいるのを知ったら、僕の両親はどう思う
だろう。一瞬だけそう考えましたが、宝くじ売り場が僕を呼んでいたのです。

大きな渦の中心が宝くじ売り場、周りに浮かぶ小さな木端が僕。こう想像
していただければ、数分前の僕がどれだけ無力だったか分かると思います。
運命のもたらす大きな力により、僕は宝くじ売り場に引き寄せられたのです。

売り場の窓口に着いた僕は、思い立った瞬間に決めた通り、1等50万円の
クラッチを5枚買いました。景気づけに財布から500円玉を取り出して、
赤い枠の中をわしわし擦ります。銀箔の下に眠る数字を揺り起こすのです。

4、4、と来て、…4。

縦に並ぶ3つの数字。当選。4等、千円。1発で元値を回収しました。
やはり運命がここで、僕を待っていたのだ。僕は確信しました。残り4枚の
うち、1枚でも何等か当たればその時点で黒字になります。ただ、5等や
4等じゃ面白くありません。余の運命の力は、もはや小さな額ではどうにも
ならぬところまで膨らんでおるのだ…!

架空の天帝気分で残りを削って全滅。回収した千円で再び5枚買って全滅。
結局収支マイナス千円で今回の運試しは終わり、諦めた僕はスーパーで少し
買い物をして帰りました。暑い夏の日のことでした。